適切なテストを選ぶヒントになるCEFR(セファール)とは?

2022/01/17

前回のコラムでは「人材育成のためにテストを活用するのであれば、テストの特性を理解したうえで活用しましょう」とお伝えしました。テストの特性の中には「どのレベルの層の判定に向いているか」という点が含まれます。
最近では「どの層の判定に向いているのか」はCEFRというものさしと照らし合わせることでわかるようになっています。英語研修に関わる業務を担当されている方は何度も耳にしているはずのCEFR。本日はこのCEFRと社内の受験者選定についてお話します。


CEFRはCommon European Framework of Reference for Languagesの略称です。日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠」と訳されています。
ヨーロッパのすべての言語に適用できるような学習状況の評価や指導指針を提示することを目的とし、Council of Europe (欧州評議会)により、2000年に発表されました。「ヨーロッパのすべての言語に」という表現から分かるように、CEFRは英語だけの指標ではなく、どんな言語にも適応できるフレームワークでCAN DO(各レベルでできること)を定義する枠組です。言語能力を示す国際標準規格として、欧米から幅広く導入され、それまでは様々な教育機関やテスト機関が独自にもっていた指標を統一することに貢献しています。
オリジナル文書の"COMMON EUROPEAN FRAMEWORK OF REFERENCE FOR LANGUAGES: LEARNING, TEACHING, ASSESSMENT"はこちらから確認できます。


日本でも英語学習教材や英語テストのCEFR換算表示が増えました。
ビジネスパーソンが受験するTOEIC®やVersant、Linguaskill Business、GCASのようなテストもCEFR換算の情報を提示しています。A1, A2, B1, B2, C1, C2というレベルのうち、外国語として言語を使う上で「困らずにやり取りができるのが」Bレベルです。B2であれば「殆どの場面で困らないレベル」、B1が「少々困ることがあってもなんとかなるレベル」と考えるとよいでしょう。
つまりB1やB2を社内の目標とするのが適切です。しかし残念ながら文部科学省の調べによるとB2レベル相当の英語力があると評価されている中学校の英語教師はわずか36.2%、高校教師は68.2%(資料はこちら pg. 9参照)です。


学校教育現場での実情を考えると、日本で教育を受けた大半の社員の英語力はB1以下であると想像できます。そのため社員のレベルをテストで評価する場合、B2レベルまでの判定ができれば十分です。
「教養のあるネイティブレベル」であるC2までの評価を出すテストよりもA1レベルからB2レベルまでを細分化した評価を出すテストのほうが社員評価と教育に役立ちます。特に、ほとんどの社員が「英語が苦手」である場合はA1とA2のレベルを細分化して見るテストが一番合っているでしょう。C1レベルまで評価をするテストを導入しても「全然テストができなかった」ということしかわからないためです。


まとめ

  1. 導入を検討しているテストがCEFRの指標に照らし合わせるとどのレベルを評価するのに適しているかを把握しましょう。
  2. 社内の実情(英語が得意な社員が多いのか苦手な社員が多いのか)といった視点で「テストが測るのを得意としている領域」と「社員のレベル」が合致するか判断しましょう。

※次回のコラムではよく知られているテストがどの層を測るのに有益か、江藤友佳の考えをお伝えします。


江藤友佳

コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジ修士号取得。外資系コンサルティングファーム勤務を経てから株式会社アルクと楽天株式会社にてビジネスパーソンの英語教育に従事。さまざまな英語スピーキング試験の試験官資格を有する「英語力評価」の専門家。著書に『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション 』などがある。