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「ビジネスに役立つビートルズの交わした会話」パート9

2023/10/04

ディズニープラスの配信と共にDVD/Blu-rayで発売中のドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ:Get Back』から、今回は変更を加えずに「元のまま」と指定したい場合や、部下や同僚のやる気をさりげなく引き出したい場合の表現を学んでいきましょう。

子供からお年寄りまで日本でもよく知られる「レット・イット・ビー」のアレンジをどうするか、ビートルズはスタジオで話し合っています。あのような世紀の名曲でも、1つの仕事として私たちと同じように相談しながら作られていったのですね。「展開が早すぎる」とエンジニアに言われ、元に戻した方がいいかジョン・レノンとポール・マッカートニーは話し合います。

John: Okay, do it exactly then... as was.
ジョン:オーケー。それなら全く同じようにしよう…前のと。

P: Isn't it as it was?
ポール:前と同じじゃなかったっけ?

as was”と”as it was”はどちらも「前と同じ状態のまま」を意味します。どちらかといえば”as was”はイギリスで使われるようです。

“as was”を覚えたついでに、ビジネスで非常によく使われるイディオム”as is”も覚えましょう。”as is”は「今の状態のまま」の意味で会話に使われるだけでなく、単体で小さな物から不動産など大きな物にも使われ、ワケあり商品など、購入者が現状のままで購入することが前提の物に、断り書きのように付けられることもあります。

職場ではちょっとしたユーモアも大事で、先ほどの会話に続いてジョンはポールに “Think what Vera Lynn would do to it.”「ヴェラ・リンなら(曲に)どう味付けするか考えろ」と言います。ヴェラ・リンはビートルズより大分上の世代の歌手・俳優で、彼女がビートルズの曲をカバーしたので、印税がもらえると喜びあったばかりでした。「レット・イット・ビー」はポールの曲なので、ヴェラ・リンになった気で取り組め、とジョンは冗談を言いながらポールのやる気を引き出そうとしています。

上記の言葉から”to it”(itは曲を指す)を取り去り、ジョンのように突拍子もない人物の名前を出せば、冗談めかしつつ同僚や部下に発破を掛けることができるかもしれません。“Think what Steve Jobs would do”「スティーブ・ジョブズならどうするか考えてみたら」のように。上司に使ったら大変なことになりそうですが。


朝日順子

著書に『ビートルズは何を歌っているのか?』『クイーンは何を歌っているのか?』『ルート66を聴く-アメリカン・ロード・ソングは何を歌っているのか-』がある。洋楽歌詞解説者としてNHK-FM「ディスカバー・クイーン」等に出演。フジテレビ系「関ジャニ∞クロニクル」(英会話伝言ゲーム等)の製作・英語監修、関ジャニ∞「All You Need Is Laugh」の歌詞監修と特典映像の制作・出演もしている。上智大学文学部英文学科卒。米国10年、中国4年滞在。

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